人の惡む所を好み、人の好む所を惡む、是を人の性に拂ると謂う。菑必ず夫の身に逮ぶ。
是の故に君子に大道有り。必ず忠信以て之を得、驕泰以て之を失う。
財を生ずるに大道有り。之を生ずる者衆く、之を食する者寡なく、之を為る者疾く、之を用うる者舒なれば、則ち財恒に足る。
仁者は財を以て身を發し、不仁者は身を以て財を發す。
未だ上仁を好みて、下義を好まざる者は有らざるなり。
未だ義を好みて、其の事終らざる者有らざるなり。未だ府庫の財、其の財に非ざる者は有らざるなり。
孟獻子曰わく、馬乘を畜えば、雞豚を察せず。伐冰の家には、牛羊を畜わず。百乘の家には、聚斂の臣を畜わず。其の聚斂の臣有らんよりは、寧ろ盜臣有れと。
此を國は利を以て利と爲さず、義を以て利と爲すと謂うなり。
國家に長として財用を務むる者は、必ず小人に自る。彼之を善くすと為して、
小人をして國家を爲め使むれば、菑害竝び至る。
善者有りと雖も、亦之を如何ともする無し。
此を國は利を以て利と爲さず、義を以て利と爲すと謂うなり。