• カテゴリー別アーカイブ 実語教
  • 実語教1

    山高(やまたか)きが(ゆえ)(たっと)からず。樹有(きあ)るを(もっ)(たっと)しとす。

    人肥(ひとこ)えたるが(ゆえ)(たっと)からず。智有(ちあ)るを(もっ)(たっと)しとす。

    (とみ)是一生(これいっしょう)(たから)身滅(みめっ)すれば(すなわ)(とも)(めっ)す。

    ()是万代(こればんだい)(たから)命終(いのちおわ)れば(すなわ)(したが)って()く。

    玉磨(たまみが)かざれば光無(ひかりな)し。光無(ひかりな)きを石瓦(いしかわら)とす。

    人学(ひとまな)ばざれば智無(ちな)し。智無(ちな)きを愚人(ぐにん)とす。

    (くら)(うち)(ざい)()つること()り。()(うち)(ざい)()つること()し。

    千両(せんりょう)(こがね)()むといえども、一日(いちにち)(がく)にはしかず。

    兄弟常(きょうだいつね)()わず。慈悲(じひ)兄弟(きょうだい)とす。

    財物永(ざいもつなが)(そん)せず。才智(さいち)財物(ざいもつ)とす。

    四大日々(しだいひび)(おとろ)え、心神夜々(しんじんやや)(くら)し。

    幼時勤学(いとけなきとききんがく)せざれば、()いて後恨(のちうら)()ゆといえども、尚所益有(なおしょえきあ)ること()し。

    かるが(ゆえ)(しょ)()んで()むことなかれ。


  • 実語教2

    学文(がくもん)(おこた)(とき)なかれ。

    (ねむ)りを(のぞ)いて通夜(つうや)(じゅ)せよ。()えを(しの)んで終日習(ひめもすなら)え。

    ()()うといえども(まな)ばざれば、(いたずら)市人(いちびと)(むか)うが(ごと)し。

    (なら)()むといえども(ふく)せざれば、只隣(ただとなり)(たから)(かぞ)うるが(ごと)し。

    君子(くんし)智者(ちしゃ)(あい)し、小人(しょうじん)福人(ふくじん)(あい)す。

    富貴(ふうき)(いえ)()るといえども、財無(ざいな)(ひと)(ため)には、なお(しも)(した)(はな)(ごと)し。

    貧賤(ひんせん)(かど)()ずるといえども、智有(ちあ)(ひと)(ため)には、あたかも泥中(でいちゅう)(はちす)(ごと)し。

    父母(ふぼ)天地(てんち)(ごと)く、師君(しくん)日月(じつげつ)(ごと)し。

    親族(しんぞく)はたとえば(あし)(ごと)し。夫妻(ふさい)はなお(かわら)(ごと)し。

    父母(ふぼ)には朝夕(ちょうせき)(こう)せよ。師君(しくん)には昼夜(ちゅうや)(つか)えよ。

    (とも)(まじわ)りて(あらそ)(こと)なかれ。

    (おのれ)より(あに)には礼敬(れいけい)()くし、(おのれ)より(おとうと)には愛顧(あいこ)(いた)せ。


  • 実語教3

    (ひと)として智無(ちな)(もの)は、木石(ぼくせき)(こと)ならず。

    (ひと)として孝無(こうな)(もの)は、畜生(ちくしょう)(こと)ならず。

    三学(さんがく)(とも)(まじ)わらずんば、(なん)七覚(しちがく)(はやし)(あそ)ばん。

    四等(しとう)(ふね)()らずんば、(たれ)八苦(はっく)(うみ)(わた)らん。

    八正道(はっしょうどう)(ひろ)しといえども、十悪(じゅうあく)(ひと)()かず。

    無為(むい)(みやこ)(たの)しむといえども、放逸(ほういつ)(ともがら)(あそ)ばず。 

    ()いたるを(うやま)うは父母(ふぼ)(ごと)し。(いとけなき)(あい)するは子弟(してい)(ごと)し。

    我他人(われたにん)(うやま)へば、他人(たにん)また(われ)(うやま)う。

    己人(おのれひと)(おや)(うやま)えば、(ひと)また(おのれ)(おや)(うやま)う。

    (おの)()(たっ)せんと(ほっ)する(もの)は、()他人(たにん)(たっ)せしめよ。

    他人(たにん)(うれ)いを()ては、(すなわ)(みずか)(とも)(うれ)うべし。

    他人(たにん)(よろこ)びを()いては、(すなわ)(みずか)(とも)(よろこ)ぶべし。

    (ぜん)()ては(すみ)やかに(おこな)え。(あく)()てはたちまち()けよ。

    (ぜん)(しゅ)する(もの)(ふく)(こおむ)る。たとえば(ひびき)(おと)(おう)ずるが(ごと)し。