実語教1

山高(やまたか)きが(ゆえ)(たっと)からず。樹有(きあ)るを(もっ)(たっと)しとす。

人肥(ひとこ)えたるが(ゆえ)(たっと)からず。智有(ちあ)るを(もっ)(たっと)しとす。

(とみ)是一生(これいっしょう)(たから)身滅(みめっ)すれば(すなわ)(とも)(めっ)す。

()是万代(こればんだい)(たから)命終(いのちおわ)れば(すなわ)(したが)って()く。

玉磨(たまみが)かざれば光無(ひかりな)し。光無(ひかりな)きを石瓦(いしかわら)とす。

人学(ひとまな)ばざれば智無(ちな)し。智無(ちな)きを愚人(ぐにん)とす。

(くら)(うち)(ざい)()つること()り。()(うち)(ざい)()つること()し。

千両(せんりょう)(こがね)()むといえども、一日(いちにち)(がく)にはしかず。

兄弟常(きょうだいつね)()わず。慈悲(じひ)兄弟(きょうだい)とす。

財物永(ざいもつなが)(そん)せず。才智(さいち)財物(ざいもつ)とす。

四大日々(しだいひび)(おとろ)え、心神夜々(しんじんやや)(くら)し。

幼時勤学(いとけなきとききんがく)せざれば、()いて後恨(のちうら)()ゆといえども、尚所益有(なおしょえきあ)ること()し。

かるが(ゆえ)(しょ)()んで()むことなかれ。