大学を素読する

人(ひと)として智無(ちな)き者(もの)は、木石(ぼくせき)に異(こと)ならず。

人(ひと)として孝無(こうな)き者(もの)は、畜生(ちくしょう)に異(こと)ならず。

三学(さんがく)の友(とも)に交(まじ)わらずんば、何(なん)ぞ七覚(しちがく)の林(はやし)に遊(あそ)ばん。

四等(しとう)の船(ふね)に乗(の)らずんば、誰(たれ)か八苦(はっく)の海(うみ)を渡(わた)らん。

八正道(はっしょうどう)は広(ひろ)しといえども、十悪(じゅうあく)の人(ひと)は往(ゆ)かず。

無為(むい)の都(みやこ)は楽(たの)しむといえども、放逸(ほういつ)の輩(ともがら)は遊(あそ)ばず。　

老(お)いたるを敬(うやま)うは父母(ふぼ)の如(ごと)し。幼(いとけなき)を愛(あい)するは子弟(してい)の如(ごと)し。

我他人(われたにん)を敬(うやま)へば、他人(たにん)また我(われ)を敬(うやま)う。

己人(おのれひと)の親(おや)を敬(うやま)えば、人(ひと)また己(おのれ)が親(おや)を敬(うやま)う。

己(おの)が身(み)を達(たっ)せんと欲(ほっ)する者(もの)は、先(ま)ず他人(たにん)を達(たっ)せしめよ。

他人(たにん)の愁(うれ)いを見(み)ては、即(すなわ)ち自(みずか)ら共(とも)に患(うれ)うべし。

他人(たにん)の喜(よろこ)びを聞(き)いては、即(すなわ)ち自(みずか)ら共(とも)に悦(よろこ)ぶべし。

善(ぜん)を見(み)ては速(すみ)やかに行(おこな)え。悪(あく)を見(み)てはたちまち避(さ)けよ。

善(ぜん)を修(しゅ)する者(もの)は福(ふく)を蒙(こおむ)る。たとえば響(ひびき)の音(おと)に応(おう)ずるが如(ごと)し。